2014年4月3日木曜日

測定方法、解析方法が不明な定量PCR(qPCR)の結果

STAPのNature Article論文のFig.2bやFig.3dの定量PCR(qPCR)の結果を示した図:

測定方法、解析方法が不明な定量PCR(qPCR)の結果

追記(2014/5/4): Hanna J氏らの論文(Cell. 2008 Apr 18;133(2):250-64.)のFig.1Eにも同じような定量PCR(qPCR)のデータが掲載されており、おかしなデータでないかもしれませんね。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2615249/figure/F1/



疑惑の解説

STAPのNature Article論文のFig.5eでしたら、ESの遺伝子発現量が1に調整してあるので、それと比べたSTAP stem cellやTSの発現量の比率・倍差(fold change)を知ることができます。

↓Fig.5e

一方、STAPのNature Article論文のFig.2bについては、遺伝子発現量が1に調整されたコントロール群が見当たりません。この図の縦軸はどのように解釈すればよいのでしょうか?

↓Fig.2b

本文中には縦軸の説明が何も書いてありませんので推測するしかありませんが、"Normalized to GAPDH"とあることから、各細胞のGAPDHの発現量を「1」としていると考えられます。また、mRNAの絶対量(コピー数)を測定したのではなく、リアルタイムPCRで倍々に増えてゆく速度をもとに、試料に含まれていた各遺伝子の相対量を推定し、GAPDHの量と比較していると考えられます。
しかしながら、Fig.2bの図を見ると、例えば、ES細胞の各遺伝子発現量の値は全て10前後ですが、これは、Oct4, Nanog, Sox2, Ecat1, Esg1, Dax1に関して得られた値が極めて不自然な程にほぼ同じだったということを意味しているのでしょうか?STAPのNature Article論文のFig3dにも同様の指摘ができます。この縦軸の値はどのように測定・計算されて得られたものでしょうか?

↓Fig3d


匿名2014年4月5日 8:26
MethodsによればLightCycler2 (32本キャピラリー)なんだから、全ターゲット同時とかありえません。それぞれのターゲット毎に標準サンプルの希釈系列を増幅して調整するのが、妥当なやり方でしょう。その標準希釈系列に何を使ったか書いていないからなんとも言いがたいです。標準サンプルはPCR産物、プラスミド、いろいろな組織のcDNAを混ぜたものなどが候補になるでしょう。機械のマニュアルは
http://www.roche-applied-science.com/wcsstore/RASCatalogAssetStore/Articles/04624505001_03.05.pdf
にあります。Ct値がほぼ同じであったと推定する理由はどこにもないです。なにをやっているのかわからん記載という不備があるのは明らかですが、疑惑かというと論文全体が信用ならんといっているだけと同じです。




関西学院大学・理工学部生命科学科の関由行准教授ら専門家は、下記のようにコメントされております。

ところでESのOct4やNanogの発現量ってGAPDHの10倍もあるんですか?
いいとこ突っ込みますね。少なくともうちで使っているES細胞(3種類)では、Oct3/4は約1/8、Nanogは1倍程度です。(プライマー増幅効率を計算していないので概算)なので、多能性遺伝子の発現がほとんど変わらないこの結果には最初からずっと違和感がありました。

  1.  20時間 このFig.2bでは、各mRNAの絶対量(コピー数)を測定して比較しているのでしょうか?GAPDH以外の遺伝子は、GAPDHと比べて、偶然にも5-15倍の範囲の発現量に収まっていますが、そういうものなのでしょうか。相対定量だとしても狭い範囲に綺麗におさまっている?

 20 時間 絶対量(コピー数)ではないです。リアルタイムPCRで倍々に増えてゆく速度からもとの試料に含まれていた相対量を推定しています。全ての遺伝子の発現量が5-15倍の範囲に収まっているのが妥当かどうかは、 さんが詳しいはずです

 20 時間 そこなんですよね。少なくともうちのES細胞は6つの遺伝子がこんな範囲には収まりません。。今更ですが。

 20 時間 Fig.2bの図は、例えば、ES細胞の各遺伝子発現量の値は全て10前後ですが、これは、Oct4, Nanog, Sox2, Ecat1, Esg1, Dax1のCt値がほぼ同じだったということを意味するのでしょうか?

 19 時間 そうやと思います。ただ、Gapdhでノーマライズしているとは書いているのですが、Gapdhを1にしているとは書いていないので、縦軸の意味がはっきりとは分かりません。

 19 時間 本文中には縦軸の説明が何も書いてありませんので推測するしかありませんね。使用するプローブの種類、Ct値の求め方、などにも依存するでしょうが、qPCRにおける6つの遺伝子のCt値がほぼ同じになるという偶然性がとても信じられません。

 19 時間 STAPのNature Article論文のFig3dにも同様の指摘ができます。この縦軸はどのように計算されて得られたものでしょうか?5遺伝子のCt値が偶然にもほぼ同じだったのでしょうか

 19 時間 私的にはこのFigに一番興味がありました。多能性遺伝子がd3で一気に上がる。この仕組みを知るために実験を始めましたので。

 19 時間 Fig2bのことですね。qPCRの生データはqPCRの機器のHDDに自動的に保存されているはずです。普通なら小保方氏の個人PCにもコピーされたままのはずです。証拠隠滅していない限り。調査委員会は全ての実験画像と生データの整合性をチェックすべきです。

 19 時間 同じデータであってもCt自体は任意にとることができる(閾値を勝手に決められる)ので、絶対値は意味がありません。(数字を出した途中経過は分かりませんが)意味があるのは、ESなど比較対象との差だけです。

 19 時間 おっしゃる通りやと思います。結局計算過程が分からないと何とも言えないですね。ただ、一般的にはこのように同じグラフに横に並べる場合は、同じ閾値で切るかと思います。うちでは2回微分でやっていますけど。

 19 時間 同じグラフに並べる場合は少なくともある細胞の全ターゲット遺伝子は同時にPCRしてる(と信じたい)。で正確には、同じ閾値を適応した場合、GAPDHとのCt値の差はどの遺伝子も2前後だった、ということで。

 18 時間不正行為を探すことをともかくとして、生データを持っていないと知的財産確保は困難となる恐れもあります。ずさんな管理体制ですね。 理研CDBが生データ持ってるといいですね。

 17 時間 最大限好意的に解釈すれば、遺伝子ごとのCtが異なればあり得ます。なら、ESで標準化せよ、見せ方が下手である、とは言えますが、不正とは言い切れないというところでしょうか。

 15 時間. ポジコンのはずのESのデータがあり得ないくらいおかしいって変な話ですよね。ポジコンのデータを弄る必要なんて思い付きませんし。もしくはポジコン自体実際にはやってなかったり。。。

 15 時間 やっぱり、生データを確認して欲しいですね。もし残されていないのなら、とても疑わしくなります。
















1 件のコメント:

  1. MethodsによればLightCycler2 (32本キャピラリー)なんだから、全ターゲット同時とかありえません。それぞれのターゲット毎に標準サンプルの希釈系列を増幅して調整するのが、妥当なやり方でしょう。その標準希釈系列に何を使ったか書いていないからなんとも言いがたいです。標準サンプルはPCR産物、プラスミド、いろいろな組織のcDNAを混ぜたものなどが候補になるでしょう。機械のマニュアルは
    http://www.roche-applied-science.com/wcsstore/RASCatalogAssetStore/Articles/04624505001_03.05.pdf
    にあります。Ct値がほぼ同じであったと推定する理由はどこにもないです。なにをやっているのかわからん記載という不備があるのは明らかですが、疑惑かというと論文全体が信用ならんといっているだけと同じです。

    返信削除