2014年4月18日金曜日

理化学研究所の過去の不祥事まとめ

”2004年の理化学研究所の論文不正事件では、不正には関与していなかった責任著者(男性副主任研究員)も不正を見抜けなかった過失責任を問われ、理研理事者側からの退職勧奨により2004年9月30日に退職した。この前例を踏まえると、理研は笹井芳樹氏にも退職勧奨を行うべき?”



1995年頃
理研分子腫瘍学研究室 新しい癌抑制遺伝子を見つけたとして記者発表しNHKで報道されたが、その後データは一切発表されず、虚偽発表、少なくとも見込み発表だった。

1998年頃
理研ゲノム科学研究室(当時、筑波研究所にあった)の任期付若手研究員が同室の同僚を殺人。同研究員は逮捕。待遇の不満から殺人した。上司は処分されず。
(報道された) 

1998年頃
理研ゲノム科学研究室からNatureに発表した遺伝子配列データに間違いがあったことが指摘されたが、間違いはないとするあり得ない反論を展開した。
(研究者社会では知ってる人は知ってる)

1999年6月
理研脳科学研究所でアジ化ナトリウム(毒)がポットに混入されていた事件が発覚 
(報道された)

以下引用(http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/publications/riken88/riken88-2-7.pdf (写し))
「BSI毒茶事件」 毒物・劇物利用研究の急増と安全管理
1999年(平成11年)6月、当時、脳科学総合研究センター(BSI)の東研究棟にあった「ニューロン機能研究グループ」の研究室で、電気ポットの中にアジ化ナトリウムが混入され、それを飲んだ室員が救急車で入院する騒ぎが起き、マスコミでも大きく報道された。その後、埼玉県警の長期にわたる精力的な捜査にもかかわらず、未だに誰がやったか分からずじまいで、また、その動機も知ることはできなかった。同様の事件は外国でも、また日本の大学や研究所でも起きている。

2000年9月
理研筑波研究所 遺伝子基盤研究部長(主任研究員)が部下に対するセクハラで辞職
(派手に報道された)

2001年頃
理研筑波研究所 分子腫瘍学研究室主任研究員 米国大との兼務違反を理由に退職したが、公費で秘書と海外渡航したことが真の理由で、研究室閉鎖と主任研究員辞職
(非公表)

2004年2月
谷畑勇夫・前理事(56)の研究費不正流用(約526万円)と、環境型セクシュアル・ハラスメント(部下の特定の女性 研究者との交際)が発覚する。”前理事は先月14日付で依願退職したが、理研 は計366万円の返還を求めると共に、理事としての約230万円の退職金を支給しないことや、 今後理研にかかわる研究に従事させないことなどを決めた。”


2004年6月
海外出張旅費を二重取りしていた元主任研究員に対して、詐欺容疑(約190万円)で告訴状が出される。(結果は不起訴処分)

2004年10月
理研脳科学研究所で都合の良いサンプルのデータだけを使用し作為ある結果を論文発表したことが発覚、新聞報道された。理研は事件を隠蔽。理研職員だけが見れるHP上で不正ではないと主張。組織ぐるみで不正疑惑を隠蔽
(報道された)

2004年12月
Genes & Development誌論文JCB誌論文における疑義
”この2004年の理化学研究所の論文不正事件では、不正には関与していなかった責任著者(男性副主任研究員)も不正を見抜けなかった過失責任を問われ、理研理事者側からの退職勧奨により2004年9月30日に退職した。この前例を踏まえると、理研は笹井芳樹氏にも退職勧奨を行うべき?”



  1. 実験ノートやデータへのアクセスが禁じられると、被告発者側は記憶に頼って反論せざるを得ないという圧倒的に不利益な立場におかれる。2004年の事件では、調査報告書全文さえも記者発表後に一時的に閲覧が許可されただけであり、被告発者側は訴訟当初は手書きメモに基づき反論せざるを得なかった
  2. 理研は、この2004年の理化学研究所の論文不正事件において、実験ノート、データ、調査報告書全文を被告発者側に開示せず、研究不正に関与していない研究者までも不正に関与していたかのように記者発表したため、4年以上の訴訟の結果、記者発表の取り消しをするという和解が成立しています。
  3. また、2004年の理化学研究所の論文不正事件では、被告発者らは出勤禁止とされ、研究室は閉鎖され、研究室員や他の研究職員との接触を禁じられたとのことです。以上、伝聞です。 STAP細胞論文に関する調査とは大きな違いがありますね。
  4. 理研は調査終了時には被告発者に対しては調査報告書の概要部分だけを5分程度だけ見せただけであったり、一部を理研が棒読みしただけであった。このような内容も把握できない状態では被告発者側は満足に弁明できなかった。また、理研は調査報告書全文の提出を裁判長に求められても1年以上拒み続けた。
  5. 2004年の理化学研究所の論文不正事件では、理研は調査中のみならず訴訟中においても、押収した実験ノートやデータ類を被告発者や裁判所に小出しに開示するという凡そ公正な科学論争とはかけ離れた対応に終始した。また、被告発者側に調査報告書全文は開示されず満足な弁明の機会が与えられなかった
  6. このような過去の事例を踏まえて、今回の小保方事件で理研は実験ノートやデータを押収しなかったのかもしれない。理想的には、研究不正疑義に関する本調査では実験ノートやデータを原則押収し、その際には、被告発者側も調査時や裁判で反論できるように、ノートやデータのコピーの保存が許可されるべき
  7. 2004年の理化学研究所の論文不正事件では、理研は実験ノートやデータを全て押収し、被告発者らはそれら資料にアクセスできなかった。そのため、調査委員会でも被告発者らには実験ノートやデータなどの記録を示し科学的に反論する手段がなかった。このことが、後の民事裁判に影響することになった。

2006年4月
延べ1937名もの職員による放射線業務手当の不正受給(1068万円)が発覚。

2006年9月
理研横浜研究所 144人のDNA情報、個人情報を流出
(報道された)

2007年3月
研究業務課長のタクシー券私的使用(189件・192万530円分)が発覚。

2009年9月
主任研究員が架空取引を行い当研究所に損害を与えたとして背任容疑で逮捕

2010年4月 事業仕分けにおいて、アシスタントに配偶者を雇用していることを問題視され指摘される

2010年4月
2004年12月の理研による論文不正の記者発表を、当該研究員による訴訟によって、理研は事実ではなかったことを認め自ら記者発表全文を取消した。(理化学研究所は、約10年前に、別の研究不正事件があったが、不正調査や記者発表の仕方が杜撰であったため、論文撤回を強要されたり、不正に関与したかのようのに発表されたコレスポ含むその他の共著者によって訴えられたことがある。)
朝日新聞: 元研究員と理研が和解 「論文改ざん」の発表を削除
毎日新聞: <理研>論文不正巡り元研究員と和解 発表をサイトから削除
以下、引用 

http://www.riken.go.jp/r-world/info/info/2010/100406/index.html

お知らせ:2004年12月24日付け『独立行政法人理化学研究所の研究員による研究論文不正発表について』のHP掲載文の削除について

平成22年4月6日

独立行政法人 理化学研究所 今般、平成16年12月24日付け「独立行政法人理化学研究所の研究員による研究論文不正発表について」及び「Publication of Fraudulent Research Papers by RIKEN Researchers」(以下「HP掲載文」という。)とそれに関連した記者会見に関する、理化学研究所を被告として提起された名誉毀損訴訟において、この度和解が成立し、HP掲載文は削除することとなりました。

HP掲載文の主旨は、「研究員による3篇の研究論文の不正発表について調査した結果、これらの研究論文に改ざんが認められたため、当該研究員(研究論文の責任著者2名:前職員)に対し研究論文の取下げ勧告を行った。」というものであります。

 本件3篇の論文のうち1篇の論文については、実験データの加工などの不適切な処置があったことを原告が認めております。また他の2篇の論文については、本件の訴訟に加え、研究員であった別の者から同様の訴訟が提起されましたが、その裁判において改ざんまたはその可能性が高いことが認められているほか、データの改ざんについてcorresponding authorとして責任があったことを原告は認めております。したがって、理化学研究所としては、3篇の論文に関して論文取下げを勧告したこと及びその発表の主旨に誤りはなかったと考えています。

 しかしながら、記者会見等において、原告が論文不正に積極的に関わったと受け取られかねない表現があったため、当時の一部新聞報道において、原告が不正に直接関わったかのような報道がなされ、そのため本件訴訟が提起されたものではないかと考えています。

 理化学研究所は、今後とも研究不正には厳正に対処する方針であり、同様な事件が発覚した場合は、論文の取下げ勧告やその公表を含む厳しい措置を執ることとしておりますが、記者発表等に際しては誤解を招かないよう、細心の注意を払うことに留意したいと考えています。

以下に、本和解の要旨を掲示いたします。

和解条項要旨

1 (1) 原告は、論文「Proplatelete formation of megakaryocytes is triggered by autocrine-synthesized estradiol(邦題:「血小板は自己合成されたエストラジオール(女性ホルモン)が引き金となって放出産生される」)掲載誌「Genes & Development 17,2864-2869(2003)」以下「本件論文1」という。」において、GFP付き3β-HSDを使用したことを明示した記載をしなかったこと、実験データのバンドを消去する加工を行った図を掲載したことが不適切であったことを認める。

(2) 被告は、原告が、本件論文1の結論に誤りがなかった旨を適宜の方法で公表することに異議を述べない。

2 (1) 原告は、論文「Regulation of APC Activity by Phosphorylation and Regulatory Factors(邦題:「リン酸化と制御因子によるAPC活性の制御」)」(掲載誌「Journal of Cell Biology,146,791-800(1999)」、以下「本件論文2」という。)及び論文「PKA and MPF-Activated Polo-like Kinase Regulate Anaphase-Promoting Complex Activity and Mitosis Progression(邦題:「PKAおよびMPFで活性化されたポロ・リン酸化酵素が分裂中期促進複合体(APC)と分裂期進行を制御する」)」(掲載誌「Molecular Cell, 1,371-380(1998)」、以下「本件論文3」という。)において、実験データの一部に改ざんがあったことにつき、corresponding author としての責任があることを認め、被告に対し、遺憾の意を表する。

(2) 被告は、原告が本件論文2及び3における上記不正に積極的に関わっていたかのような印象を与える記者会見を行い、また、ホームページ上に同様の文章を掲載したことにつき、それらの表現が不適切であったことを認め、原告に対し、遺憾の意を表する。

3 (1) 被告は、その公式ホームページ上に掲載されている平成16年12月24日付け「独立行政法人理化学研究所の研究員による研究論文不正発表について」及び「Publication of Fraudulent Research Papers by RIKEN Researchers」と題する日英両文の文書(URL:http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2004/041224/index.html及びhttp://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2004/041224/index_e.html)を本和解成立後1週間以内に削除する。

(2) 被告は、前項に基づいて上記文書を削除した日から2週間、その公式ホームページのトップページ中に「お知らせ」欄を作成し、同欄に、日本語及び英語で、「平成16年12月24日付け記者発表内容は、削除しました。」と記載するとともに、前項に基づいて上記文書を削除した日から3年間、上記各URLに、日本語及び英語で、「12月24日付け『独立行政法人理化学研究所の研究員による研究論文不正発表』は、関係当事者間の裁判上の和解に基づき、削除しました。」と掲示する。

(疑義論文1 G&D論文) (民事訴訟1:東京地方裁判所民事第16部、平成19年第5387号 における和解にて、原告が不正でないと主張することに対し、理研が異議を唱えないこととなりました。)
http://genesdev.cshlp.org/content/19/15/1823.long
Errata for vol. 17, p. 2864
Genes & Development 17: 2864-2869 (2003)
Proplatelet formation of megakaryocytes is triggered by autocrine-synthesized estradiol
Yuka Nagata, Jun Yoshikawa, Atsushi Hashimoto, Masayuki Yamamoto, Anita H. Payne, and Kazuo Todokoro

(疑義論文2 JCB論文) (民事訴訟2にて、裁判所により研究不正が認定されました。)

JCB Home > 2005 Archive > 11 April > Kotani et al. 169 (1): 205

Published April 11, 2005 // JCB vol. 169 no. 1 205 The Rockefeller University Press, doi: 10.1083/jcb.199901060032505r© 2005 Rockefeller University Press Retraction
Shuji Kotani, Hirofumi Tanaka, Hideyo Yasuda, and Kazuo Todokoro

Vol. 146, No. 4, August 23, 1999. Pages 791–800.Drs. Tanaka, Yasuda, and Todokoro retract the above referenced manuscript. An investigation by RIKEN determined that some of the experimental data had been falsified. Details of the investigation are available at http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2004/041224/index_e.html.

2013年9月
研究所から流出した可能性のある過去の情報について


2014年4月
ドイツ人教授「理研は“STAP”以前も改ざんあった」 (テレビ朝日)
以下引用 
"理化学研究所で研究者として働いていたドイツ人の大学教授がANNのインタビューに応じ、「STAP細胞問題の以前にも理研でデータの改ざんなどがあった」と語りました。 理化学研究所の元研究者、トーマス・クヌッフェル氏:「(Q.論文の盗用など見たことがあるか?)ええ、見たことがあります。私は、それについて批判しましたが、うまくいかなかった。批判に対する前向きな反応はなく、逆に私の立場が危うくなりました。それは、理化学研究所で育まれた一種の『文化』だと思います」 現在、ロンドンの大学で教授として働くクヌッフェル氏は、去年までの15年間、理研の脳科学研究センターのチームリーダーとして働いていました。しかし、データの改ざんを指摘したことなどが原因で理研から契約を更新されなかったということです。クヌッフェル氏は、科学雑誌「サイエンス」のウェブサイトに「理研は研究不正に対して甘い」と告発していました。"

3 件のコメント:

  1. 1924年(大正13年)9月20日
    水銀還金事件。水銀から金の抽出を発表したが、その後実験の失敗を発表。しかし、10年間錬金術研究は継続。

    予告記事(大阪時事新報 1924.9.20(大正13))
    http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00075044&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1

    報道記事(時事新報 1924.9.21(大正13))
    http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00075045&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1

    説明記事(毎日新聞 2014年03月15日 00時10分)
    http://mainichi.jp/opinion/news/20140315k0000m070142000c.html

    説明ビデオ(23:30〜 科学技術振興機構「サイエンスチャンネル (60)長岡半太郎」制作年度:2001年)
    http://sc-smn.jst.go.jp/playprg/index/647

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  2. 2004年理研バイオソースセンターが東北大学細胞バンクから受け取った細胞10年間間違いに気づかず?

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  3. バカンティマウス作ったのはティッシュエンジニアリング、セルシード親会社
    深い関わりが

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